匠工房は、身近な自然(光・水・風など)との共生をテーマに、こだわりを持った家づくりをしています。
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湖北の民家再生(東主計の家)  
     
 
 

 長浜市内(旧浅井町)東主計にある古民家の再生

主屋は1861年(文久年間)以前に、現在地に移築建築されていることから、今回の現地再生工事を含めると、過去2回の再生工事を経験した稀有な民家事例である。

再生前の主屋の屋根は葦葺で大変美しい姿をしていた。その葦葺屋根の維持管理が限界にきたということで、今回水まわりを含めて改修工事をしている。
主屋は何事も無かったように仕上がっているが、なかなかの難工事であった。
1つは、建物が南へ100m/m程度傾き捩じれていたことである。それを修正するために建て起こし工事が必要であったこと。
2つ目は、葦葺屋根の美しさに負けない屋根をどう再築するか、その下地づくりが大変な作業であった。
難しい工事と覚悟しての工事着手であり、「150年以上経過した民家に恥じない仕事をしよう」と施工者の方々と肝に銘じながら建築に携わり、無事完成している。

工事中、建築主の方は、解体した小屋組より発生した煤竹を御自分で丁寧に磨かれている。その煤竹を建物の随所(建具、天井等)に再利用している。そのような作業を拝見する中で、「この家を守り、住み継いでいく」という強い意志を改めて感じることが度々であった。

ここでも設計から工事監理まで、大半の部分で『おまかせ』となった。信頼されものをつくることの責任の重大さと、その信頼されることの深さ、建築主の懐の深さを実感する再生工事であった。
竣工時に古民家再生の見学会(主催 湖北古民家再生ネットワーク)がおこなわれ、建築主の方より心あたたまる熱いメッセージをいただき、さらに感動する家づくりであった

 
 

再生後


外観南西面

再生前


再生前外観


妻飾り(前ダレ)
竹と茅で編みこんだもの



外観正面
 



玄関

再生前玄関



座敷まわり

再生前座敷まわり


いろりの間・居間
 

つし


再生前つし

再生にいたった理由

直接的な理由
 1.公共下水の共用開始・・・生活排水の下水への切替へが必要。
 2.屋根の葦葺の維持が困難・・・メンテナンスの少ない屋根材が欲しい
 ※ これだけの理由だと新築するという方法もあるのですが、そこには、
住み継いでいきたい気持ち
 1.自宅が江戸時代に移築建築され、その後代々住み継がれてきた
  家の歴史を体で感じながら育っているので、家に対す愛着があった。
 2. 御先祖が残してくれた家のかたち、又屋根のかたちをなんとか残したい。
                  ↓
                  ↓
 『次の世代に引き継ぐことのできる暮らしやすい住まいにつくる』
                  ↓
                  ↓
 変わらないことの安心感と新しくなることへの期待をこめて

            再生工事への決断

再生工事のポイント

『次の世代に引き継ぐ暮らしやすい住まいをつくる』
             
具体的に要望された改善項目
 1.水まわり(台所、浴室、便所)を便利に使いやすくする ・・・・・ 設備の更新
 2.屋根をメンテナンスの少ないものとする ・・・・・ 屋根のカバーリング
 3.建物が南へ傾き、ねじれているのでそれを修正する ・・・・・ 建て起こし工事
 4.土間が梅雨時期になると、非常に湿るのでその解決をして欲しい ・・・・・ 防湿コンクリート工事
 5.民家の大空間を仕切って、冬暖かく住まいやすくする ・・ ・・・ 間仕切りの設置
 6.安心して暮らしたい ・・・・・ 耐震性能の向上(耐震壁の設置)

図面(矩計図)


建築主よりいただいたメッセージ

『本日は天候の悪い中を見学にお出でいただきありがとうございました。
丁度一年前に着工しやっと完成しましたが、この工事に踏み切るまで正直なところずいぶん迷った時期もありました。しかし、匠工房の島田さんより「いいものが出来上がりますよ」との自信溢れる言葉に心の迷いも消え、再生工事のスタートとなりました。工事が進むにつれ、見るも無残な我家を見るにつけ、本当に再生ができるんかなぁと不安にかられる時も度々でした。でも段々と工事が進み仕上がってくるにつれ、重厚な風格を感じさせられる我家に姿を変え、とうとう本日を迎えることができました。
今、私はこのように見事に蘇った我家にとても満足感を覚えています。古い物を次々と廃棄処分していく今の時代、古い物の良さを見直すことや再生していくことに関心をお持ちの皆さんには私の気持ちも十分ご理解いただけることと思います。今日、我家を見学して下さった皆さんの中には、我家を再生しようかなとお考えの方もおられるのではないでしょうか。是非、古い民家を再生してみて下さい。
そのためにはそのことに理解のある設計士さんや建築業者さんに巡り会うことも大切なポイントの一つではないでしょうか。
この中から古民家再生に取り組まれる方が出てきますように期待して止みません。』

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