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柏原の旧中山道沿いに建つ築後百数十年を経過した町家の保存、活用と町なみの修景を目的とした修景工事である。改修後は地域の高齢者ディサービスセンターとして活用され、まちの機能の一部を担いながら、このまちに生活する者にとって今後欠かせない存在になるとおもっている。
柏原宿の町なみは、江戸時代から明治、大正、昭和と各時代の建物が混在している。他の宿場町に見られるある1つの時代の建物が集中して並び、1つの時代に時を凍結した町なみとは異なり、柏原宿は住民のごく普通の生活の場として、生活感溢れるまちとなっている。
今回の事例のように、最近の歴史的建物の活用は、その方法に大きな広がりを見せてきている。歴史的建物はこれまで、日常生活とは切り離され、その美観とまちの歴史資料として客観されてきたが、今後はまちの生活の機能の一部を担うものとなり、そのまちのアイデンティティーを支える重要なものとなってゆくものとおもわれる。
活発におこなわれる町づくり活動の中で、崩壊止むなしと見られてきた建物が蘇り、まちの記憶(歴史的建物)の消失が避けられたことで、まちのアイデンティティーを支える宝物が又1つ誕生したと感じている。
まちづくり、建築はなにも難しい理論でなく、只まちを豊かにするものとおもっている。
私達が設計活動の一部として大切にしている建物の保存、再生もそれ自体が目的ではなく、住みよい豊かなまちをつくるための微力であるが1つの手段と考えている。 |
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