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雲南省西双版納に住むタイ族の住居。(西双版納は、雲南省の最南にあり、ミャンマー.ラオスと国境を接している地域である。)
タイ族は、タイ・ルー、タイ・ナー、タイ・ヤーの3つの支系に分けられるという。それぞれに習俗や言語が多少異なり、その中でもタイ族の特徴を最もよく残しているのが、西双版納(シーサンパンナ)のタイ・ルー族の住居といわれる。その西双版納の近くの古村を訪れた。
タイ族の住居は、もともと竹楼と呼ばれ、柱・壁・床などは竹でつくられていた。日本では、竹の使用は構造材料としてではなく、2次的なものとしてしか使用しないが、この近辺の南の国々では、何から何まで竹で家をつくってきたようである。
現在の住居づくりは木造が主流で、竹楼の住居に出会うことはなかった。紹介する写真の住居は木造で比較的新しいものである。住居は高床式で主要な生活空間は2階にあり、屋根はコロニアル風の素焼き瓦で葺かれている。1階の柱は、大きな断面の堅木でピロティをつくり、2階へはフーンダイと呼ばれる階段で上がる。柱は、土中に埋めた礎石の上に立ち、2階まで通し柱となっている。2階床レベルで胴差しのような梁材が柱を貫通する通し貫工法で、柱には左右からクサビを打ち込み固定している。柱は25cmから30cm角程度あり、樹種は日本の栂のようにみえた。この程度の1軒の住宅は20日程度で完成するらしい。
村を訪れた時、偶然に村人の結婚式に出合った。婦人達は美しく着飾り、花嫁を送り出す準備をしていた。隣にいた花婿を送り出すタイ族の青年達と話する中で、この青年達は近くの植林された経済性のあるゴム園で働き、その日当が約500元(¥7,500円程度)ということであった。中国の西南の奥地で、この高額な賃金は少々驚きであった。
独自の言葉と文化を持ち暮らしてきた雲南省の少数民族の生活も漢化され、徐々に近代化の波が押し寄せてきている。
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