|
近年、社寺建築又、歴史的建造物における工事において、仕様書(設計図)を作成する機会が増している。
社寺を建築する場合の方法は、1つは信頼できる建築会社に随意契約し建築する方法。もう1つは、その資金が浄財であることから、仕様書(設計図)を作成し、入札において請負業者を選定する方法である。後者の方法は、透明性が高く建設コストが下げられることから、最近採用される場合が増えているように思われる。
但し、伝統建築の仕様書の作成は難しい。鉄骨造のような確立されたマニュアルが無いためである。その作業は伝統工法の詳細な知識が必要とされるため、敬遠されがちな業務である。私達もその知識・技量はとても充分とは言えないが、伝統建築設計者として資質を高めるため、各専門業者、又職人に多くを学びながら取り組んでいる。
工事においては厳しい工事契約にも関わらず、法隆寺棟梁、故西岡常一氏の流をくむ棟梁〈㈱建部 建部清哲氏〉と各職人達のすぐれた技能に支えられ、美しい精緻な仕上りとなっている。又、多くの部材を再使用している。200年を経過した本堂を構成する部材ひとつひとつに、往時建築に関わった門徒の方々の魂を感じる。おろそかにできる部材はひとつも無いと考えている。再使用可能なものは、出来る限り場所を変え再使用している。
|
|