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築後150年を経た、信楽町黄瀬にある民家の再生である。
施主は郷里を離れ、東京での暮らしが長かったが、退職を機に郷里へ帰って第2の人生を迎えられることとなったため、今回の再生工事が計画された。
基本設計・実施設計は、東京と当事務所(滋賀)との間で、メール・FAXでのやりとりを中心に進められた。
建物は、再生工事に入るまでに「増築・改修」が繰り返され、創建当初の姿は想定しにくいものとなっていた。現在の母屋は、いずれ解体・建て替えになることが前提となっており、安易な増築・改修が繰り返されていた。母屋の創建時の姿は、痕跡調査のみでは判定しなかったため、私たちは近隣にある類似の民家の調査に取り掛かった。近隣民家の調査の結果、住宅の原型は概ね判明し、工法も理解することができた。
非日常部分の間である「ハレ」の部分は既存のまま残し、機能的な動きが要求される日常的な部分は、既存離れとの間で増築し機能的な間取りとした。 集落内では、ハウスメーカーの住宅も何棟か建ち、かつての集落の景観が失われつつあるが、外観を残すことで、少しではあるが黄瀬の集落の姿を残すことができた。
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