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建築は、まちの最大の記憶装置。
幼い時に遊んだまちなかの御堂、路傍の石橋、古木など永く見続けてきたものが変わらずに在ることは、私たちに大きな安心を与えてくれる。住まいにおいても、新しく変わる中で、古くからある形を引継ぎながら、まちの安心をつくってゆく。
「記憶」は私たちがおこなう民家再生の大切なテーマです。
築後200年近い武家住宅の再生事例。
歴史ある住まいを再生する場合、大きく2つのエリアに区分して計画、設計している。
1つは、家の歴史を引継いで家格を継承してゆく部分。もう1つは、住まい易く、現代生活にあわせたアメニティを重視して改修する部分である。
T邸の場合も、住時、井伊藩の社寺奉行をされていたことから、座敷の隣に特別な間がつくられ、貴賓を迎えられていたという。そのような座敷を含めて家格をあらわす部分は復原的方法で改修している。
一方、従前より水まわり部分であったところは大きく間取りを整理し、モダンな要素を取り入れながら改修している。
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