■柏原コミュニティセンター
柏原の西の入口にあたる角地に立つ、集会所である。
《外観》
旧中山道側(北面)は、かつての街道の面影を残す町屋のプロポーションとし、近隣の民家のスケールに合わせた。各所に町屋のエレメント(要素)である出格子・格子・むしこ(虫籠)窓・白壁を用い、街道の修景を計った。町屋形式としては、先発型・後発型があるが、ここでは後発型の型を取っている。
一方、西側(西面)は、地域の活発な住民活動(まちづくり運動)を象徴し、また、次代を担う子供達に躍動する町の未来を予感させるような表情(外観)を願い計画した。町のエレメントである格子と紅柄を用い、モダンな表現を試みている。
《プラン》
柏原宿に残る町屋の形式(土間L字型の通り庭)を建築平面計画に活かしている。まちに対して、閉ざされた形となりやすい玄関部分に通り庭の形式を取り入れ、建物のどの方向からもアプローチしやすい、「まちに開かれた」集会所になるよう計画した。
《ランドマーク》
敷地西側に火の見櫓を設けた。これは、まちのランドマークとなることを願ったものであるが、発端はナショナルトラストの柏原宿の調査で団長をされた三村先生が、調査の雑談の中でおっしやった一言である。「柏原には、火の見櫓がどこかにあるといいぞ。」、その一言がいつまでも記憶に残り、町の建物に活かされることになったわけであるが、今度は「火の見櫓」が、人々の記憶に入ってゆければと考える。
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